性被害に遭ってしまった時、その後の対応を自身で行うことは非常に負担が大きいことです。
身近な人に頼っても、その人もどう対応していいか分からないことがほとんどだと思います。
警察や病院も、性被害に対しての適切な対応ができているかといえば、そうとは言えません。そんな時、様々なサポートをしてもらえるのがワンストップセンターです。
被害直後から法的手続きの完了、被害回復の期間まで、長期に渡って継続してサポートを受けられます。
ワンストップセンターで受けられる主な支援を6つ紹介します。
目次
性被害の電話相談
2020年から、#8891というワンストップセンターに繋がる共通ダイヤルがスタートしました。
「大したことないかもしれない…。」「特に怪我はしなかったし…。」と思っても、少しでも困ったり、違和感を持ったらワンストップセンターへ連絡してください。
「これは性暴力なのか分からない」という場合でも、そのことを電話で相談して良い場所です。
また、性暴力とは強制性交に限りません。痴漢や強制わいせつの被害も性暴力です。
被害者は自身の被害を過小評価してしまいがちです。
それも被害に遭ったことで起きる自然な反応なので、遠慮せずに支援に繋がることが大切です。
病院・警察署への同行
性被害直後に自身で病院を探し、予約をとって、状況を説明し、診察を受ける…
想像しただけでも、大変に負担のかかることだと分かります。
警察となると、その精神的不安やハードルはより高いものです。
そのように大きな負担のかかることを、なるべく早急にすることが求められます。
ワンストップセンターでは、病院や警察署への同行をしてくれます。
病院へ同行してもらうメリット
電話相談で聞いた被害の内容・状況を支援員が資料にまとめて持ってきてくれるため、医師に被害内容を一から詳細に説明しなければならない負担が減ります。これだけでも、被害者にとっては大きな助けとなります。
診断書が必要な場合や不安なことなど、支援員が間に入って代わりに医師に伝えてくれます。
また、診察の待ち時間などに、一般の患者と同じ待合室にいることを負担に感じたり、人の目を避けたいという気持ちもあることと思います。
事前に病院に事情を伝えてもらったり、診察の際に不安な気持ちを伝えてもらうことで、病院側からも配慮をしてもらいやすくなります。
警察へ同行してもらうメリット
警察への同行でも同様に、支援員が被害内容や状況をあらかじめまとめて持ってきてくれます。
警察署へ行くと、次々に被害について質問をされるので、精神的な負担になったり、伝えたいことをうまく言えないと感じるかもしれません。
ある程度被害の概要についてまとまった資料があれば、警察もそれに基づいて聞き取りをする可能性が高いので、短時間で動いてもらいやすくなります。
聴取室まで支援員が一緒に入ることができるかどうかは、警察署の対応によりますが、筆者の場合は聴取室にも支援員の方が同席することを認めてもらえました。
ちなみに親族も警察署へ同行してくれましたが、親族の聴取室への同席は認められませんでした。
捜査上、証人となるような人はそれぞれ別に調書をとります。(お互いの話を聞くことで記憶に影響が出ないようにするためもあるかと思います)
聴取室ではかなり待たされる時間も多かったので、支援員の方が気にかけてくれたり、捜査上不安なことを刑事さんに働きかけてくれたことで、とても助けになりました。
警察では、場合によっては被害を訴え出ても”事件化が難しい”などの理由で、被害届の受理を拒まれるケースも少なからず存在します。
ワンストップセンターの支援員がその場に付き添うだけでも、そのような警察側の性暴力被害への無理解な対応を防ぐことに繋がります。
【最重要知識】もしも性暴力被害に遭ったら。直後にする対応・支援情報まとめ
医師・カウンセラーの紹介
性暴力被害にあうと、ASD(急性ストレス障害)、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの精神的な影響が出るケースがほとんどです。
精神的な影響についても、できるだけ早く医療機関に繋がることがその後の回復にもプラスにはたらきます。
ワンストップセンターを通して、性暴力被害者のPTSD治療経験を持っている医師やカウンセラーを紹介してもらえます。
精神面への支援は、長期間必要になるものです。
親身になってくれる医師やカウンセラーに繋がれることが大切です。
弁護士の紹介
犯人が無事起訴され、刑事裁判になる場合は、被害者参加人のための国選弁護制度を利用して費用の負担なく弁護士を立てることができます。
刑事裁判の場合は、警察側で弁護士を探してもらえます。
警察側に弁護士を探してもらえなかった場合でも、法テラスへの相談で犯罪被害者法律援助を利用すれば、着手金の負担なく弁護士を立てることができます。(利用には所得の条件があります)
刑事事件化されない場合は特に、加害者側の弁護士が示談交渉のために、被害者へ強引に連絡をしてくるケースがあります。
民事裁判だからこそ、加害者側に言いくるめられたり泣き寝入りを防ぐために、間に入ってくれる弁護士が必要です。
“弁護士検索をすると加害者側の弁護士ばかりが出てきて苦しい”という現状もあります。
ワンストップセンターでは、被害者弁護を専門にしている弁護士と連携をとっています。
治療費の申請
性暴力被害によってかかった医療費は、制度を利用することで自己負担をせずにすむことがあります。
刑事事件の場合は、警察を通して公費から治療費を支援してもらえます。(筆者のケースでは、支援額上限が3万円でした)
地域によって差がありますが、PTSDの治療費やカウンセリング代も支援してもらえます。
東京都の場合、PTSDの治療代を10万円まで支援してもらえます。
裁判支援
裁判の段階では、ワンストップセンターの支援員が裁判の傍聴をしてくれます。
被害者参加人として参加する場合でも、支援者が近くにいるだけで安心感があります。
裁判では、被告人側が酷い言い逃れをすることも考えられます。
傍聴席に味方が多いことはそういった場面で心強いことです。
ここまで、ワンストップセンターで受けることのできる支援についてまとめました。
性暴力被害に関して様々な段階で長期に渡って支援を受けることのできるワンストップセンターですが、課題もあります。
現状、ワンストップセンターの支援内容には地域格差があり、24時間対応可能なセンターを増やすことや、医療費の充分な支援が求められています。
政府の動きや行政の支援内容を今後も確認していきたいです。
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