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【警察がするべき性犯罪対応まとめ】性被害の相談があったときに迅速にするべき対応チェックリスト

警察がするべき性犯罪対応

もしも性暴力被害に遭ったら

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目次

被害届、迅速に受け取りをお願いします

警察庁からは以下の通達が全国の所管課警察署に出されています。

被害者の心情に配意した性犯罪捜査の徹底について(通達)令和3年5月21日
https://www.npa.go.jp/laws/notification/keiji/souichi/souichi03/02R030521seihanzai.pdf

概要
1 被害の届出への適切な対応
(1) 被害届の即時受理の徹底
2 捜査の過程における二次的被害の防止等
(1) 被害者の体調・プライバシー等への配慮
(2) 事情聴取における被害者の負担軽減等への配慮
3 職員に対する指導教養の推進

性暴力立件の鍵は証拠保全のスピード。警察職員のみなさんにかかっています

警察庁からの通達にもあるように、被害届は即時受理が原則となっています。
「事件が起訴できそうか、詳しい事実関係を判断するのは後」です。判断をするのは捜査段階であり、被害申告を受けた段階ではありません。

”具体的にどのような行為があったのかについては、通常、捜査を進めなければ、その詳細は明らかにならないが、被被害の届出については、捜査によって犯罪に該当するか否かを十分に判断できる状況を待つことなく、届出がなされた時点でこれを受理しなければならない”
(警察庁の通達より)

被害相談があったときはとにかく少しでも証拠になりうるものをスピード感をもって揃えられるよう、対応をお願いします。
防犯カメラや身体に残った傷、体液、薬物アルコールの影響、被害者の記憶、これらの証拠は時間との闘いです。
窓口の判断で証拠を残すことができなかったということがないように原則に従い対応をお願いいたします。

性被害の届け出や相談は夜中や休日など、対応に詳しい職員が不在の際にも来ることがあります。
刑事課の職員の方だけでなく、最初に被害申告を受ける窓口となる職員の方にも対応について共有されていなくてはなりません。

警察に被害申告があった際に早急に確認するべきポイント

被害から72時間以内など、それほど時間が経っていないとき、早急に以下の事項を確認し対応をしてください。

・アルコールや薬物の影響がないか判定キットを使用し確認
・署内に薬物判定キットがない場合、病院に付き添い検査
・救急外来や婦人科、泌尿器科に警察官が立会い証拠保全
・身体の傷がないか検査、負傷している場合の証拠保全
・加害者特定につながる体液等の証拠

以下の3つは被害から時間が経過している場合でも、すべての相談で対応をお願いします。

・被害者に自治体の性暴力被害ワンストップ支援センターの存在を案内
・被害者にワンストップセンターの支援員の付き添いがあった場合は、聴取室での同席や病院への付き添いを許可する
・対応に迷う場合は、警察内の性犯罪相談窓口(#8103)担当に早急に意見を仰ぐ

アルコールや薬物の影響があるか?

被害者の記憶が途切れていたり、「あまり覚えていないが性被害に遭った気がする」ということを言っている場合、アルコールや薬物が使用されたことを疑い検査をします。

一部の警察署では即時に検査できるレイプドラッグ使用の判定キットがあるかと思います。
それらを使用し、証拠保全をお願いします。

「デートレイプドラッグ」簡易検査キット 警視庁が都内の全警察署に配備 薬物使用の性犯罪NO! 相談者の尿で即確認

被害者を病院に連れていく

被害によって負わされた傷がないか、あった場合はその傷の診察や証拠保全としての撮影などを医師に対応してもらうことが必要です。
被害から時間がそれほど経過していない場合、加害者のDNA特定に繋がる証拠も病院で残すことができます。
この証拠は加害者検挙やその後の起訴、刑事裁判のうえでも重要なものとなります。
早急に残せるように対応をお願いします。

聴取のうえでの被害者への配慮

女性が被害者の場合、女性の職員が聞き取りをするなど、聴取や対応をする担当者の配慮をお願いします。

また、被害に遭った人が1人ではなく誰かに付き添われて来ることもあります。
ワンストップ支援センターの支援員や弁護士が付き添っている場合は、聴取室への同席をできるようにお願いいたします。
ワンストップ支援センターは、内閣府が各都道府県に1つ以上設置している機関です。
警察、病院、各地の被害者支援センター等の連携を強化し、被害者負担を減らすための仕組みです。

被害にあった人はワンストップセンターにも繋がることで、心理面など警察で受けられるもの以外の支援も受けることができます。
被害者が警察に最初に被害申告に来た場合、管轄都道府県のワンストップ支援センターの案内もいただくようお願いします。

 

2023年性犯罪刑法が大きく改正されました

2023年、レイプ被害に関する性犯罪刑法が「強制性交等罪」→「不同意性交等罪」へ改正されました。
暴行脅迫がなくても、被害者の同意がない性的行為は性犯罪となります。

「加害者と知り合いだから」「脅されているわけではなさそう」「抵抗をしていない」という理由で被害届の受け取りを拒む対応は誤りです。
性暴力被害は知り合いからの被害が多くを占めます。
被害に遭うとき、人間はフリーズして抵抗ができないことは心理臨床で証明されており、それに基づき法改正がされています。

被害者に届け出の意思がある時点で、被害届の受理を先送りにせず、間を置かずに受理いただくようお願いします。

被害に遭った人はショック反応で「被害に遭ったように見えない」ことが普通です

性暴力等の犯罪被害に遭った人は、被害から時間が経っていないほど現実感覚が麻痺していたり、感情を感じにくくなっていたりするケースがあります。
これは人間が心身を守るために起きている自然な防衛反応です。
被害者の以下のような様子は、外から見ると”被害者のイメージ”からかけ離れているかもしれません。一般的な”被害者のイメージ”は誤りです。

イメージと違うからといって、被害者の傷をより抉るようなバイアスをぶつけたり被害を疑ったりすることのないようお願いします。

性暴力等の犯罪被害に遭った人には、以下のような反応が起きることがあります。

・涙が出ない

・冷静に見える

・淡々としている

・記憶が整理できていない

・被害のことを聞いても言葉が出てこない

・静かに涙がつたう

・笑いが出る(動揺や恐怖で、被害について話すときに笑ってしまうことがあります)

・通常の会話のなかで笑顔も出る(被害に遭ったからといってずっと泣いている、つらそうにしているわけではありません)

・被害のことについて前後関係が逆になったり次々と思い出して言っていることが変化しているように感じる
(詳細を何度も同じように語ることができないのは普通です。曖昧な箇所があることも普通です。服の色や時間など曖昧な箇所があるから・覚えている供述が変化したからといって出来事すべてを疑ったり否定することの方が不自然で無理があります)

 

被害に遭われた方向けに、被害状況の入力フォームを設置しています

捜査関係者の方も、初期聞き取りの項目としてご参考にいただけますと幸いです。

被害状況入力フォーム
https://thymeapp.jp/diagnosis

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この記事を書いた人

性暴力被害に遭ってしまったとき、そしてその後、被害者が利用できる支援や被害回復について、サバイバーが発信しています。