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今後のために証拠だけでも残しておく支援にご協力をお願いします
性被害に遭った人は、誰にも相談できていない・被害認識ができていない状態でも、アフターピルの処方などを受けるために婦人科等の医療機関に一番最初に繋がることがあります。
患者に警察に届け出る意思があるかどうかを確認すると、多くの場合は「警察には行かない。妊娠しないかだけ心配で」というような返答がされるかもしれません。
そのとき被害当事者が「警察には行けない」と言ったとしても、それは警察に行った後どのような手続きがあるのか分からない故の不安であったり、被害直後でとてもそんなことは考えられない状況にあるからということがあります。
被害に遭った人が加害者にきちんと責任を取ってほしいという気持ちになるまでには時間がかかります。
今すぐに警察に行けなくても、時間が経って今なら行くことができそう、やっぱりなかったことにしたくないという気持ちになったときのために、ワンストップセンターと連携することで警察に被害申告を今すぐにしなくても証拠だけでも残しておくことができることを伝えていただくようお願いします。
被害から時間が経っていない相談者に対しては、「警察に行かなくても証拠を残すことができる」案内をお願いします。
法務省からも医師によって適切に採取されたものであれば、証拠能力として問題はないと回答があります。
ワンストップセンターの案内をお願いします
ワンストップセンターは各都道府県に1つ以上設置されている性暴力被害対応の支援機関です。
警察・病院・被害者支援センターの連携を強化し、被害当事者の負担を減らすために作られている仕組みです。
ワンストップセンターでは以下のような支援を受けることができます。
・病院への同行支援
・警察への同行支援
・電話での相談(24時間)
・カウンセラー・連携病院の紹介
・弁護士の紹介
・裁判傍聴の付き添い
ワンストップセンターにつながることで、被害当事者はその後も受けられる支援の選択肢が広がります。
センターに相談することで警察に通報が行ったりということはありませんので、性暴力の被害に遭われた方が来院した場合は、疑いであってもワンストップセンターの紹介をいただくようお願いいたします。
また、ご自身の病院がある地域のワンストップセンターのパンフレットや相談カード等を院内に設置いただき、啓発等にもご協力いただけますと幸いです。
本サイトTHYMEの啓発しおりも、地域施設に無償でお送りしております。
院内での設置をご検討いただける場合、こちらからお申込みください。
性暴力被害に遭った人が来院した際のチェックリスト
・被害による傷、裂傷などがある場合、カルテに記録しておく
・被害者本人の被害申告がなくても、暴行の疑いがある傷があったらカルテに記録しておく
・膣内洗浄等はしない
∟被害者の希望があった場合、証拠が消えてしまうことを説明する
・性感染症の検査を行う
∟今後発症した場合に被害によってうつされたものであることの証明に使用できる場合がある
∟数か月後に再度性感染症検査が必要であることも伝える(被害によって感染していないかどうかは1カ月程度経たないと分からないため)
・アフターピルの処方(必要な場合)
・ワンストップセンターの紹介
∟無料で心理面でも法的面でもサポートが得られることを伝える
∟被害者が拒まなければ病院からワンストップセンターに電話をしてその場でつないでいただけると幸いです(#8891)
・証拠保全への協力
∟ご自身が所属する医療機関で対応できない(採取キットがないなど)場合、ワンストップセンターに証拠保全の手続きについて尋ね、対応する
∟ワンストップセンターの支援員が採取キットを持参し対応するケースや、ワンストップセンターが提携する医療機関にお願いする(支援員がセンターと連携する医療機関に被害に遭った方を連れていき証拠保全をする)ケースが考えられます
・警察に被害申告することで今回の診療代が還付される可能性があることを伝える
また、被害に遭った方の負担軽減のために以下のご配慮を意識いただけますと幸いです。
・ほかの患者と待合室を変える
・別室がない場合、車内や外で待機できるようにする
・女性の医師(同性の医師)が対応できるようにする
・診察台を動かす際など被害に遭った人の不安を和らげる声かけをする
アフターピルをもらいに来た人がいたとき、婦人科で「もしも性暴力を疑うことがあったら、支援センターがあるのと今日の診療費も戻ってくる可能性があるからね。証拠を残すこともできますよ」と一言あるだけで、その後が大きく変わるのではないかと思います。
交際相手や夫であっても避妊をしない— THYME🌿性暴力被害者支援情報プラットフォーム (@THYME_for_us) September 22, 2022
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知識はやさしさ THYME