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サバイバーが開発。性暴力の証拠保全を可能にするプロダクト。Femtech Fes2022レポート!

もしも性暴力被害に遭ったら

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目次

10/14~16 Femtech Fes2022が開催!

10/14(金)~16(日)にかけて、六本木ヒルズ49階ホールにてFermata主催のFemtech Fes2022が開催されました。
日本だけでなく、世界各地から200以上のフェムテックプロダクトが集まりました。

フェムテックとは、テクノロジーで女性が抱える健康などの課題を解決する事業のこと。
生理や妊娠、メンタルヘルス、セクシャルウェルネスなど幅広い分野に渡り、ここ数年で更なる広がりを見せている急成長中の業界です。
さまざまな企業が新規プロダクトを企画しています。

性暴力サバイバーが開発した、あのときあってほしかったプロダクトも。

Femtech Fesの展示プロダクトの中には、性暴力の問題の解決を目指すプロダクトもありました。
THYMEが実際に展示を見た3つのプロダクトをご紹介します。

“なかったことにしたくない”から生まれた歩行者用ドライブレコーダー 「Carefie」

歩行者用ドライブレコーダー「Carefie」は、開発者の方の原体験から生まれました。
路上で身体を触られる被害に遭ったとき、訴えたくても証拠がなく、被害申告をできなかった。あのとき、ドライブレコーダーのように証拠として起こったことを記録できるものがあったら…。そのような思いからスタートしています。

会場では、実際のプロトタイプに触れさせていただくことができました。
バッグに付けるかたちのもので、出かける際に電源をONにして使用します。
360度撮影が可能とのこと。
シンプルでとても使いやすい製品だと思いました。

 

開発までの道のり。さまざまな議論や課題も。

歩行者用ドライブレコーダーの開発に当たっては、さまざまな壁や議論があったそうです。

まず、意思決定権を持つ人たちに製品のニーズがあることを理解してもらうことも大変だったとのこと。
“路上での性被害はそんなに起こることなのか?”
“製品にしたときに売れるのか?”
といった疑問に対し、データでニーズを示していく必要がありました。

また、当事者がお金を払って高価な製品を使うことも難しいのではないかという課題も、当事者からの議論としてあります。
当事者ではなく、団体や企業などが購入をして、当事者が使用できる仕組みができるならば最も理想で、今後も検討を進めていくそうです。

プロダクトの開発段階では、さまざまな立場からたくさんの議論を重ねて、よりよい仕組みや製品を作っていくことが不可欠です。
私個人は、「当事者にここまでさせる社会はいけない」という前提を持ちながらも、性暴力の課題については、事業やテクノロジーの力で解決できる課題が非常に多く残されている、むしろできるはずのことが今までなされてこなかったと考えています。

歩行者用ドライブレコーダー「Carefie」もその1つで、多くの人の声が集まることでよりよい仕組みが見えてくるはずです。
共感・応援の声はもちろん、懸念点やこうなったらより良いなという要望も、開発者の方にとって大きな力になります。

2023年春、クラウドファンディング開始予定!意見を届けて、Carefieを一緒に育てる


「Carefie」は、製品化に向けて2023年春にクラウドファンディングを実施予定とのこと。
以下のCarefieの公式LINEアカウントから、簡単に意見を届けることができます。

先行モニターも募集中とのこと。THYMEとして、この製品を応援したいです。

性暴力の問題に取り組む。海外のサバイバーが開発した製品

ボタンを押すだけで簡単に助けが呼べるブレスレット 「Flare」

Flareもサバイバーが開発した製品です。ブレスレットの内側に機器がついており、押すだけでアプリと連動して助けを呼ぶことができます。
プロダクト説明欄には「サバイバーとして、あのとき私が欲しかったものを作りました」と言葉がありました。

ブレスレットになっているので、日常的に身に付けやすい点がよいなと思いました。

性暴力の証拠を自分で残せる証拠保全キット「Early Evidence Kit 」by Leda Health

Leda Healthはアメリカで生まれました。性暴力被害を受けたとき、すぐに病院に行ったり被害を申告することには大きなハードルと負担があります。誰にも相談することができなかったという人も珍しくありません。しかし、数年時間が経って「今なら声を上げられる」と思える人たちもいます。すぐには被害申告できなくても、声を上げることができるようになったときに、自分が受けた被害を証明できるように。
そのような思いから、自らどこでもすぐに証拠保全をできるようにするプロダクトとして開発された製品です。

アメリカと日本では、性暴力の証拠保全に関わる部分だけでも、かなり課題のレベルが違います。このセルフ証拠保全キットが生まれたアメリカは、病院に被害申告をすれば証拠保全ができる環境です。
それでもサバイバーにとっては、すぐに自分でできる必要があるという思いから生まれた製品です。
この製品は、2020年のニュースで見たことがあったのですが、できた当初「証拠として採用することができない」という多くの批判にさらされました。

性暴力のリアル──「DIYレイプキット」をめぐる議論から私たちが学ぶこと。

ですが、法律は不変のものではなく社会状況の変化に合わせて、変えられていくものです。
開発者の「自分の服やシーツは証拠になるのに、なぜ女性の体から出てきたものはだめなの?」という問題提起に共感します。

日本の性暴力証拠保全の状況は?

性暴力の証拠保全にまつわる課題については、9月にTHYMEも省庁に要望書を提出しています。

性暴力の証拠。警察に行けなくても残せる体制を全国に!27,893筆の署名と要望書提出

実は日本では、病院に被害申告をしても、性暴力の証拠保全をすることができない場合があるのです。
THYMEの調査では、27の自治体のうち9の自治体で、「警察に通報をしないと性暴力の証拠保全ができない」という深刻な状況が浮き彫りになりました。THYME運営者である卜田も、病院で証拠保全をしたいと申し出たときに、「警察に通報しないとできない」と断られてしまった経験を持ちます。
そのことで証拠保全をするまでに時間がかなりかかり、重大な証拠を残すことができないかもしれないリスクと負担に晒されました。

しかも、このことに法的な根拠はないのです。
警察庁が主導をして、医療機関に証拠保全キットを配布し、協力医療機関を募っているにも関わらず、まだその仕組みの浸透にも課題が残っています。
法的根拠がないということは、警察に通報をせずに病院で採取された証拠も、警察に通報をしてから病院で採取された証拠も、証拠能力としては全く同じ条件で扱われるということです。
支援機関の中でも、そのことが共有されておらず、「警察に通報しないで採取した証拠は、証拠能力として弱いのではないか」という誤解も見られました。

それ以前に、日本ではまだまだこの課題がほとんど知られていない、行政や支援者の間でも問題視されていない状況です。まずは課題を可視化することからのスタートですが、THYMEとして、今後もこの問題についての情報共有を行っていきたく思います。

 

ここまで性暴力サバイバーが開発した製品について紹介しました。行政からのアプローチだけでなく、ビジネスとテクノロジーの力で課題解決に取り組み、そのことによって法律や政治、社会世論を動かしていくことに繋がればと思います。
THYMEも少しずつですが、サービス開発を進めています。

社会を動かしていくために、沢山の人の声や応援が必要です。
今回ご紹介した製品や取り組みに良いなと思ってくださった方がいましたら、ぜひ今後のサービスを応援してくださると嬉しいです。

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知識はやさしさ THYME

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性暴力被害に遭ってしまったとき、そしてその後、被害者が利用できる支援や被害回復について、サバイバーが発信しています。