THYMEでは昨年、性暴力被害後の状況に関する調査を行いました。調査は大きく①警察への被害申告 ②トラウマ治療の状況に分けて行い、148件の当事者からの回答を得ることができました。刑法の改正や性暴力に対する社会の認識の変化に伴い、被害後に警察へ申告する人の割合が有意に増加していることが明らかになりました。
目次
アンケート実施概要
実施期間:2024年11月2日~22日
実施方法:Googleフォームを用いてのオンライン調査
回答数:126件 (22日以降の期間外の回答 総計148件)
対象者:性暴力被害の当事者、本人が幼児の場合その親も含む
今回の記事では、結果レポートとして、性暴力の警察への被害申告について詳細を見ていきます。
被害申告の割合
性暴力被害にあった後、警察に被害申告をしたか割合を調べたところ、被害申告をしたという人は全体で30.7%でした。
さらに、2017年と2023年の刑法改正を軸として、被害にあった時期別に警察への被害申告率をクロス分析したところ、最初の刑法改正の年である2017年以前では、19.7%であった警察への被害申告率が、2017年の刑法改正後には40.5%、2023年7月の2回目の改正以降は61.5%と、劇的に上がっていることがわかりました。
この結果は、政府による調査と比べて高い数値になっていますが(※1)、調査に協力してくださった方の多くがTHYMEのフォロワーであり、相談意欲が高かったことが要因と予測されます。
それでも、(2017年の刑法改正から7年間の間で、)申告率がここまで明確に変化するとは、予想を大きく超えたため驚きました。社会の性暴力への認識が着実に変化したことで、被害にあった当事者も被害認識がしやすくなったり、これは警察に言っていい被害なのだと認識する人が増えたりしたことが予想されます。
※1 内閣府男女共同参画局「令和5年度男女間の暴力に関する調査」では、不同意性交等の被害を相談した相手として警察は1.4%となっている。
この結果からは、被害当事者はきちんと被害を相談しているのだ(助けを求めるという「できること」を当事者はしているのだ。社会の側がそれを受け止めなければいけない段階である)と示すことにも繋がります。
被害申告後にどうなったか
警察への被害申告自体は増加していますが、その後の捜査の進捗実態はどうなのでしょうか。アンケートでは申告後の捜査に関しても調査を行いました。
被害申告後に実際に調査が行われたのは全体で30%ほどという結果となっています。
ただこちらも改正前と改正後を比較すると1.5から2倍ほど捜査実施率が上がっており、警察内でも対応が改善されてきていることが推測されます。
(見出し3)
警察に被害申告したこと、できなかったこと、しなかったことへの今の気持ち
警察への被害申告に関連した気持ちについて調査したところ、約8割の人が「警察に行ってよかった」「行けばよかった」「行きたかった」との回答をしています。
警察に被害申告をして状況が良くならなかったけれどやれることはやれたのでよかった、と答えた方も多く、警察に被害を伝えることが大きな意味をもつことがわかります。
まとめ
アンケート調査からは、刑法改正を機に警察への被害申告率や捜査率が高まっていることが明らかになり、社会の認識が着実に変化してきている様子がうかがえます。とりわけ、性暴力被害を「被害」として認識できる人が増えていることは、非常に重要な変化です。
一方で、申告後に実際の捜査に進んだ割合は半数に満たず、「事件化できない」と諦めざるを得なかった方も少なくありませんでした。対応の改善が見られるとはいえ、依然として課題が残っていることも事実です。また、今回のアンケートはTHYMEのフォロワーを中心としており、相談意欲の高い人たちが多く含まれていた可能性があるため、申告率などの数値は一般よりも高めに出ていると考えられます。
日本全体で見れば、今なお性暴力被害を認識し、警察に相談することには高い心理的ハードルがあると想像されます。実際、「被害直後にはそれが被害だと気づけなかった」と回答した方も多くいました。
まずは、被害をより認識しやすくすること。そして、警察に相談するという選択が当たり前になるような社会をつくっていくことが、今後さらに必要です。
被害申告フォームについて
THYMEには被害申告に活用できるフォームを用意しています。ぜひご利用ください。
性被害に遭ったら|性暴力被害者支援情報プラットフォームTHYME
アンケート結果ファイル
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アンケート簡易集計PDFはこちら▼
性被害相談後の課題に関するアンケート_Google簡易集計_compressed
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